28355!ではカードを配置した横の並び(1行)が1編成となり、プレイヤーは15枚のカードを3~5つに編成してオーディションに臨みます。オーディションでは編成内のスキルカード(Sk)により発揮値が増加し勝敗が決まります。
28355!には現在リリースしている拡張3までで14種(+オールマイティ系カード)のスキルが存在しています。
- イルミネーションスターズ … 1種
- アンティーカ … 3種
- 放課後クライマックスガールズ … 3種
- アルストロメリア … 1種
- ストレイライト … 1種
- ノクチル … 2種
- シーズ … 2種
- はづき(拡張2) … 1種
スキルカードをどういう効果にするか、どれくらいの強さにするか、基本設計時や拡張作成時にどのように考えていたかというのは以前にも公開したことがあります。ざっくり言うと「1枚で発揮値3~4程度の増加を基準にする」というものです。
本記事では、この条件のさらに前提でもある「スキルカードにできること/できないこと」についてまとめ、それを決めるための重要な要素「スキルの有効範囲」についても解説します。
スキルカードにできないこと
まずスキルカードにできないこと、つまり「こういった効果を持つスキルカードは28355!には作ってはいけない」という制限について紹介します。
◆マイナス効果を作らない(プラス効果のみにする)
スキルはできるだけ効果を単純化したかったので、数値計算にマイナスを持ち込みたくありませんでした。マイナス効果は大抵は別の何かを大幅プラスする効果も併せ持つことになり、それを許してしまうと後々バランス調整に苦労しそうでもあります。同じ理由でかけ算や割り算も導入していません。指さし指折り数えるだけで発揮値計算が終わる、それくらいの単純さをキープしたい。
◆対人効果を作らない
28355!はドラフトがメインシステムのゲームです。他人に対するインタラクションはドラフトで十分であり、ここにさらに他人(特に個人)攻撃できるような効果を載せるとサツバツとしてしまうので作りません。
◆ジャンル間で傾斜や差を作らない
28355!はVoDaViの3ジャンルで戦うゲームであり、その3つを対称的にしています。例えば「Voは〇〇が得意」みたいな効果(TCGでよくある色の役割みたいな)は作りませんし、じゃんけんのような3すくみの形(「VoはDaに強い」みたいな)にもしていません。
ジャンルによる差はゲーム中に流行という形で発生させています。
◆ゲームの特徴を否定する効果を作らない
28355!は「ジャンル特化が強い!」「リンクアピールは強い!(ユニットが組めたら強い!)」というシャニマス本家の初期体験を重要視しています。ドラフト時にもそれをカード選択の指針になるようにしているので、例えば「編成の枚数が少ないほど強い」「編成のアイドルのユニットが揃っていないほど強い」といったような効果はそれらを否定するような編成基準となってしまい避けねばなりません。
具体例を考えると、本家のシーズの効果のような「〇〇ジャンル+編成内のユニット種類数」が思いつきます。数値的には問題無さそうですが、これは上記の理由により実装できません。
はづき(拡張2)の「VoDaVi種類数」はジャンルを揃えない方が強い効果で制限に反していますが、最大でも+3であることから例外的に許容しています。これは小糸の「VoDaVi各ジャンルの枚数」と対称させている効果でもあります。はづきを明確に弱い効果にしたかったのと、拡張2(ノクチル追加パック)を「色」をテーマにしたパックにしたかったためです。
◆ドラフトを阻害する効果を作らない
例えばドラフトの手順自体に干渉する効果もそうですし、ドラフトの最中に何かを行う効果も含まれます。ドラフトで手札を選ぶ時間がかかる、というのはプレイヤー全員に発生する可能性があり公平なので良いのですが、1プレイヤーが選んだカードの効果でダウンタイムが発生するというのはドラフトの流れを切ってしまい好ましくありません。
例外としてはオールマイティ系カード(283プロ/はづき)の指定効果ですが、プロデュースアイドルにするくらいなら誰にするかは大体決めているはずですのでこれは許容しています。プロデュースアイドルを誰にするかというのは全プレイヤーが知りたい情報でもあるので。
◆分身しない
シャニマスのアイドルは分身できないので、1プレイヤーの場の中に同一人物(プロデュースアイドル)が2人以上存在できてしまうようなギミックは搭載できません。
この制限は「チェンジ」のルールにより担保されています。スキルカードの効果発動は(プロデュースアイドルにした場合や条件により指定されている場合を除けば)オーディションステップであり、それは最後のチェンジのタイミングより後になります。例えばオーディションステップの審査時に表向きになった時に効果を発動しプロデュースアイドルを入れ替えるような効果は作れない、ということです。
◆コピーしない
カードゲームにコピー能力を実装すると大変なことになる。みんな知ってるよね。
スキルの有効範囲
さて、本記事の表題にもなっている「スキルの有効範囲(スコープ)」について解説します。ここで言う有効範囲とは「スキルが自身の効果のために何を参照し、何に影響を及ぼすことができるか」を指します。
本ゲームのスキルカードはこれを「そのスキルカードが含まれている編成(編成の内側)の要素のみ参照・操作できる」と決めています。
- カードの名前(アイドル名/ユニット名)
- カードのジャンル
- カードの種別(プロデュースアイドルか、サポートアイドルか)
- カードの状態(表向きか、裏向きか)
- カードの枚数
- カードの位置
編成を構成するカードだけ見てもこれだけの要素があります。これらを単一もしくは組み合わせてそこから3~4が平均となりそうな数値を取り出し、また操作してスキルの効果としています(幾つか例外はありますが)。実際にゲームを遊んだことのある方であれば、上記要素のどれが誰のアイドルのスキルになるかは想像できるでしょう。
編成の内側のみ参照できると制限することで、1枚のスキルカードの強さについて考慮しなければいけないカードは最大でも自身を含めて5枚のみとなり、効果を把握しやすいようにしています。スキルカードは、自分の編成のことだけ考えていればよいのです。
逆に以下のような要素(編成の外側)は参照できず、また干渉できません。
- 編成の数 (仲間が多いほど強い、みたいな? 使いやすそうではあるけれど…)
- 捨て札 (めったに出ないしそれ専用の編成を組む難度が釣り合わない)
- プレイヤーの数 (ライバルが多いほど強い、みたいな意味づけにはなるけどねえ…)
- 他プレイヤーの編成やカード (個人攻撃の制限にも引っかかってくるので)
- 審査員カード (審査員カードは流行を表しているものであり、そこにそのアイドルがいるわけではない)
スキルカードにできること
スキルカードにできないことを踏まえた上で、今度は「できること」について考えていきます。これは実例を見た方が早いでしょう。
大きく「固定値を加算する」「何かを参照しその値を加算する」の2種に分けられます。加算する側される側、それぞれ対象や数値が色々ありますがどれも編成内のみで完結しています。
固定値加算系のバリエーションは元々スキルカードを「発揮値3~4程度にする」としているので余りありません。3を足すか4を足すか、ですね。美琴の+2+2は制限の中で変化を持たせた例です。
摩美々はその効果の手順で審査員カードを使用しますが(審査員カードと混ぜて摩美々が引けるかどうか→1/7の乱数発生器として使用している)、審査員カードやジャンルを操作したり参照したりはしていません。
咲耶の「参加ジャンル」参照は特殊な例です。これをなぜ実質同じ意味である智代子の「VoDaVi+5」と表記を変えたかというと拡張でより差別化できるようにという目論見があったのですが…結局使いませんでした。まあ審査員カードやジャンルそのものに影響を及ぼしているわけでも無いし、軽微な例外です。
ノクチル(小糸を除く)はジャンル自体を追加する効果となっています。ジャンルを追加することで大抵の場合+2となるので固定値加算側に近いのですが、そのジャンルを参照するスキルもあるというところが特殊です。
スキルが参照できる要素というのは先に挙げたように幾つもありますが、1つのスキルで参照させるのは1つか2つが限度でしょう。実際に遊んでいると、放クラの「ジャンル枚数+スキル枚数」でも既に引っかかっていることが何度もありました。放クラはノクチルのジャンル追加でさらにこんがらがる(強くはなるので損はしていない)ので厄介です。
小糸は自身のものまね効果に加えて枚数参照もあるのでテキストが突出して長く、正直な所もう少しシンプルにした方がよかったと反省しています。ものまねは無条件でもよかったかな…。
未来のスキルカード
未来ちゃんのことではありません。
もうシャニマス本家にはアイドル追加は無いとは思いますが、もし新アイドル(または既出人物の283プロ加入)があればさらなる拡張パックのリリースは行いたいと思っています。逆に言えば、アイドル追加以外の拡張は作るつもりはありません。
その時追加されるアイドルにどんなスキル効果を持たせるか。もちろんゲーム中でそのアイドルがどのような扱われ方をしているかを大事にして全く関連性の無い効果を持たせるわけにはいきませんが、事前に幾つか候補を考えておくといざその時が来た際にスムーズに準備できます。
とはいえ大抵の効果パターンは実装してしまったので果たしてどんな効果が残っているのか…。
小ネタ
編成は基本セットだけとっても66P5×5で約50億パターンあります。千や万どころではないですね。
(66種類中5枚の順列、その5枚の中でどれをプロデュースアイドルにするか)